※こちらの記事は「遥かなる時空の中で4(愛蔵版)」の感想を語るにあたって、
一部キャラの恋愛ルート、そしてゲームシステムやメインシナリオについて書いています。
一部攻略キャラの選択肢、またはメインシナリオのネタバレが苦手な方は閲覧をお控え下さい。
私は、数年前にPS2版の遙かなる時空の中で4(通常版)をクリアしました。
ですが…シナリオ自体は良かったんですが、全体的に内容が薄かった事しか記憶にありません。(;^ω^)
なので、「愛蔵版ならシナリオが補完されているのか?」と気になったので、「遙かなる時空の中で4 愛蔵版」の方をレビューしたいと思います!
愛蔵版は追加シナリオがあるらしいので、それでも内容が薄かったか?をレビューしたいと思います。
プレイした個人的な感想としましては…
- 世界観やキャラは個人的に好き
- スチルも綺麗で、ゲームシステムもストレスなくプレイ出来た
- 突出して酷い点は無いけど…残念な所もあったり追加要素の逸話集が微妙
…といった印象です。
個人的には遊びやすく楽しめた作品なので良作だと思いますし、おすすめしたい作品です。
ですが…Amazon等で低評価にしている方の理由を見ると「確かに…」と思ってしまう点もありました。
何故そう思ってしまったのか、これから語りたいと思います。
PSP作品をディスプレイでプレイしてみたい方は、以下の記事を参考にしてみて下さい。
過去シリーズのレビューを見たい方は、こちらの記事をどうぞ。
ですが、ボロクソ書いてる部分もあるので、批判意見が苦手な方にはおすすめしません!
他のナンバリング作品の感想を見たい方は、こちらの記事をどうぞ。
「遥かなる時空の中で4 愛蔵版」について
スペックについて
スペックはこんな感じ。
メーカー:コーエー
人数:1人
発売日: 2010年12月22日
クイックセーブ機能とは、通常セーブとは別枠で簡易的にセーブが出来る機能の事です。
これにより、毎回セーブページに行かなくても、シナリオ内や選択肢が出現すればすぐにセーブを行う事が出来て便利です。
私の場合「わざわざセーブする程じゃないと思うけど、念のためにセーブしておきたいなぁ」なんて思った時に活用しました。
また、今作から設定で主要キャラやモブキャラのボイスを任意でオン/オフに出来る機能が追加されました。
プレイヤーさんの中には「キャラ自体は好きだけどボイスが好みじゃない」という方や「主人公のボイスはいらない」など拘りがあると思います。
そういった方には、この新機能は便利だと思います。
あらすじについて
あらすじについては、以下の通りです。
高校教師の風早、同級生の那岐と共に現代で暮らしていた主人公は、子供の頃の記憶がなく、夕焼けの色を目にする度に「何かをしなければならない」という漠然とした思いに駆られていた。ある日、風早を迎えに家を出た主人公は、突然現れた柊と名乗る男に、自分が異世界の中つ国の二ノ姫だと聞かされる。風早、那岐の3人は、時空を越えて戻った彼らの生まれ故郷の異世界において、5年前に常世の国の軍によって滅亡した中つ国の復興に向け、さまざまな種族の仲間と力を合わせた戦いを始めることになる。
今作の舞台は古代日本になります。
また、過去作のように実在の人物をモチーフにしたキャラが登場しません。
コーエー側が「原点回帰」と銘打つだけあり、
- 平安より古い時代
- 四神の力を借りる為に奔走する
- 普通の女子高生の筈だった主人公が、実は巫女でありお姫様
- 序盤は誰も主人公が過去に姿を消したお姫様だと信じてくれない
…など、過去作の八葉抄や遥か2をリスペクトしたっぽい設定がちらほら見受けられます。
前作である遥か3のシナリオは「バッドエンドを回避する物語」でした。
ですが、今作は「定められた運命に立ち向かう物語」だと思います。
今作は前作とゲームシステムの仕様はほぼ一緒ですが、バッドエンドを回避する為に各章をあちこち移動しません。
基本的に一本道のシナリオになっており、各攻略キャラとの間には王としての立場や、国の情勢から発生する障害や問題は避けられません。
今作は主人公が物語の中で王として成長していき、その過程で立場の違いや運命に悩みながらも、攻略キャラと幸せな未来を掴む物語になっています。
追加要素について
PS2版とPSP版の違いを、簡単に説明したいと思います。
- 「逸話集」として後日談的な新シナリオを20本追加
- 新規イベントスチルを20枚追加
- 新規イベントではサブキャラのボイス追加
- メモリースティックPRO デュオへのインストールが可能
「メモリースティックPRO デュオって何?」という方向けに簡単に説明しますと、
ゲーム開始時、以下の商品をPSPに接続してゲームをインストールすると、ゲームの読み込みが早くなる機能の事です。
プレイ時にシャーって音が鳴るのが嫌な人向けです。
ゲームシステムについて
移動パートについて
前作では立ち絵やスチルで物語が進んでいましたが、今作からシナリオ・または移動中は3Dグラフィックに変更されました。
プレイヤーは神視点でシナリオを見ることが出来て、キャラが武器を持ったり移動する事で、シナリオの描写が分かりやすくなっています。
また、移動パートでは探索機能もあります。
黄色い▽を見つけたら〇ボタンを押すと、アイテムやキャラと会話することが出来ます。
十字ボタンで移動が面倒な場合、×ボタンで行ける場所の一覧を表示させて、行きたい場所を選んで〇ボタンを押すと、
主人公が指定した目的地まで自動で移動してくれるので便利です。
または、□ボタンで矢印を表示させて、名前が表示される場所で〇ボタンを押しても自動で移動してくれます。
このように、場所を指定して自動で移動してくれる機能があるので、移動操作はストレスはありませんでした。
でもちょっと気になる点も…
3Dのクオリティは…正直に言わせて貰うと、初見の時に「…シムズかな?」と思いました。(;^ω^)
別に、キャラの体が変な方向に曲がる等の致命的なバグが起きません。
ですが、会話の中でキャラが後ろを振り向く描写がある時、
直立させているフィギアを、回転台で回したようにぐるっと回って振り向くので「お、おぅ」となりました。
他にも、何も置いていない台を囲って食事が始まったり…
カリガネ√では、フラグが立つ場所の筈なのに何も起きずフラフラしていると、
脈絡なく「ジャンプ」という新しいモーションが追加されており
上の画像の奥のマップに行く事でカリガネ√が進むという…初見じゃ分かりづらく作り込みが雑な点があります(;^ω^)
また、シナリオ内で移動描写もあるんですが…移動速度が亀並みに遅いです。
ですが、スキップ機能を活用してR1ボタンを押すと、早く移動してくれます。
心の天秤システムについて
前作では「絆の関」や「蜜月」など、フラグを成立させる選択肢を選ぶ事で攻略キャラとのエンディングが見られました。
今作では、上記と同様のシステムが「心の天秤」という名前に変わっています。
「えっ、システム名変えただけじゃん」と思った方もいるとは思いますが、
フラグが成立する選択肢を選んでいれば天秤が右側に傾き、
逆にフラグが成立しない選択肢を選んだ場合は左に天秤が傾きます。
これにより、きちんと攻略キャラとのフラグが成立出来たか分かりやすくなりました。
バトルパートについて
遥か3シリーズでは、上記の画像のようにマスに出現する敵の属性が表示されていました。
ですが、今回はランダムエンカウント形式に変更されています。
人によっては「めんどうくさっ」と思うかもしれませんが、
得られる龍神の力は、右側の編成しているメンバーの属性に依存するようになったので運要素はありません。
また、今作では主人公+仲間3人を事前に選び、イベントバトルではバトル直前にメンバーが固定される事もあります。
※右上に黄色い鍵マークが付いていたら固定メンバーです。
前作ではアニメーションを使ったバトルが採用されており、状況に寄って8人を円陣システムでクルクル回転させながらバトルしていました。
今作では、バトルでも3Dグラフィックが使用されています。
大ダメージを与える技では、キャラと背中合わせに術を発動させるモーションが入り、
カットイン演出が見られます。
※カットイン演出を見たくない場合は、バトル中にRボタンを押したままにするとスキップ機能で省略出来ます。
合流システムについて
前作だと、バトル終了後に褒めてくれた八葉の好感度が上がりました。
今作では「合流システム」が実装されています。
主人公 or 攻略キャラが目の前の敵を倒すと、味方側のターン終了後にまだ敵を倒せていないキャラの場所へ移動する事が出来ます。
合流すると、攻略キャラ or 主人公の間で短い会話があり…
先に主人公 or 攻略キャラの元へ行けると「一番乗り」や「速攻」と表示され、攻略キャラの好感度が上昇します。
主人公の場合は任意で選択出来ますが、攻略キャラが先に倒した場合はランダムになっています。
ですが、バトル中はどうしても思い通りにならない場合もあり、仮に一番乗りが成功しなかった場合…
- 攻略キャラが二人同時に最初に来た場合 ⇒ 好感度は攻略キャラに半分ずつ分配される
- 2ターンまでに合流した場合 ⇒ 速攻扱いになるが、1番最初に合流したキャラより貰える好感度は少ない
…という感じになります。
攻撃について
前作では、術の攻撃力は気力の消費量に依存していましたが、
今作では、画面上中央にある「特殊」「術」「攻撃」の横についている青い玉が技の威力の増減に関係しています。
青い玉の数が多いほど、敵に大イメージを与えることが出来ます。
また、キャラによっては青い玉の場所を変える特技を持っているので、バトルが運ゲーにならずストレスは感じませんでした。
各キャラの育成について&バトル面でおすすめキャラ
今作でも、各キャラにステータスを振ることが出来ます。
遥3よりステータスが細かく分かれており、「同属性強撃」は主人公と同じ属性の敵に対して攻撃を上がったり、
サブキャラを召喚して攻撃してもらうなど…細かく出来る事が増えたので、レベリングのやりがいがあります。
また、個人的に育てておくと便利なキャラは遠夜です。
遠夜は単体回復・全体回復・異常状態回復が出来るので非常に便利です。
また、遠夜に歌を覚えさせると、歩き回らなくても敵とエンカウント出来ます(ポケモンでいう「あまいかおり」と同じ効果です)
育てておくとヒーラーとして便利なキャラなので、上記の画像のように自由枠が1枠空いていたら戦列に加えてあげましょう。
また、ある程度強くなってくるとランダムエンカウントがウザいので、風早と柊の「遁甲」の値を上げておくと便利です。
キャラクターについて
主人公について
今作の主人公は、過去作の主人公達と違って元は異世界で生まれ育ったお姫様です。
暫くは記憶喪失の状態で、現代世界で普通に暮らしていました。
ですが、柊の策略によって再び異世界に帰って来ます。
過去作の主人公は、明るかったり妹っぽい部分がある子でしたが、今作の主人公は記憶喪失という設定も有って、
序盤は少しふわふわしていて天然っぽい印象です。最初はちょっと頼りない印象があります。
ですが、シナリオが進むにつれて「平和な国を作りたい」、「中つ国の人を守りたい」と強く願い行動する過程で、王へと成長していきます。
中には「主人公の設定が詰め込み過ぎててちょっと…」と思う方も居るかもしれません。
ですが、個人的には設定が全く無いよりマシだと思います。
普通の女子高生がいきなり「実は貴女は異世界ではお姫様です!」と言われるより
作中で仲間のリーダーらしい振る舞いをする主人公の姿があっても、きちんと土台となる設定がある事でスムーズに受け入れ易くなっていると思います。
また、前作だと個性が強い主人公なので「主人公=自分」と捉えづらかったですが、
今作は選択肢に寄って言葉のニュアンスが変わるので、主人公=自分と思ってプレイしたい方や、好みの性格でプレイしたい方など、
プレイヤーのプレイスタイルに応じて楽しめる主人公になっていると思います。
ですが…√によっては「うーん…?」と思ってしまう点もありました。
それは、後述で語りたいと思います。
攻略キャラ
今までは八葉が主人公の攻略可能対象でしたが…今作には八葉という概念が存在しません。
一応、エンディング後に「天 or 地の〇〇」というアイテムがゲットできますが、全員あくまで志を同じくした仲間…という感じなので、
遥かシリーズでは異質かもしれません(;^ω^)
良かった点
ゲームシステムやUIに関するストレスはゼロだった
八葉抄から運命の迷宮を通して、過去作でゲームシステムで不満だった点は…
- ゲームシステムがキャラの印象を悪くする原因になっている
- 主人公ageのために応援システムが改悪されていた
- スキップ機能がR1ボタンを押し続けないと出来ない
- 迷宮パートが移動しにくい
など、作品ごとに何かしら不満を感じる点がありました。
ですが、今作「遙かなる時空の中で4 愛蔵版」では
- 移動操作がしづらいが、マップ上で場所を指定すれば自動移動してくれる
- クイックセーブ機能が追加されたので、セーブ欄がすっきりする
- 3Dグラフィックがもっさり動作だが、スキップ機能を使えば倍速 or バトル中はスキップできる
など、デメリット部分きちんと改善しているので、プレイしていてストレスを感じませんでした。
ですが、愛蔵版もPS2版とWii版同様、キャラのボイスはパートボイス仕様です。
私はボイスは重要視していないのであまり気になりませんでしたが、
「愛蔵版なんだからフルボイスでしょ。」と思って買うと、がっかりしてしまうかもしれません。
シナリオがしっかり作られていて、読み応えがある
今作では、遥か3シリーズ同様、中つ国 VS 常世という2つの勢力の戦いである事は同じです。
ですが、主人公が王になった!⇒エンディング…なんて事はなく、
個別√に入ると、戦いの後に主人公が王になった後の話や政治的思惑など、
攻略キャラに寄っては全く違う展開でストーリーが進むので、シナリオは深みがある印象です。
また、攻略キャラが主人公に惚れただろう瞬間がきちんと描写されています。
なので、個別√に入ったら攻略キャラがいきなりデレたり口説き始めた…なんて展開にならず、自然な流れで各攻略キャラとの恋愛が発展していきます。
遥か3のように1からしっかり作られており、王道展開から切ないものまでバリエーションがあり楽しめました。
個人的に好きな個別シナリオは、忍人さん・布都彦君・アシュヴィン√です( *´艸`)
登場キャラが主人公を過度に甘やかさない
前述した通り、主人公は中つ国のお姫様です。
なので、「各攻略キャラが所謂逆ハーレムのように主人公をチヤホヤしたり、過剰にヨイショするんじゃ…。」と、
そういった表現が苦手な人は身構えてしまう方もいるかもしれません。
ですが、今作は攻略キャラ達は過度に主人公をチヤホヤしたり、主人公に都合の良いように話が展開される事がありません。
共通シナリオでは…
- 主人公が提案 or 行動する
- まともなツッコミが入る or 無謀な策だったら叱る
- 主人公が謝る
- メンバー全員で話し合って妥協案を見つける
…という流れが多く、例え主人公が無茶をしても攻略キャラ達がきちんと叱る or 軌道修正してくれるので、プレイしていて鼻に付く感じはありませんでした。
例えば、何やかんやあって主人公が絶望して膝をつきそうになった時、風早がこう声を掛けます。
風早は主人公の保護者的なキャラで、よく主人公を気にかけています。
ですが、決して甘やかさず、このように主人公を叱咤するします。
お前に求められていたのこういう姿だぞ、白(ry
他にも、ネタバレにはならないと思いますが、忍人さん√の一部では…
このように、個別√に入っている状態でも、弱気になる主人公を叱る場面があります。
主人公はお姫様ではありますが、シナリオでは常に民を束ねる王としての態度が求められます。
なので、お姫様…という感じは薄く、格好いい女主人公が好きな人には、好きなタイプの主人公だと思います。
残念な点について
味方キャラの戦闘AIがポンコツ気味
今作でも敵に異常状態を付与出来ます。
ですが…付与すると、味方キャラがちょっと面倒な動作をします。
例えば…
- 味方キャラが敵に異常状態を付与
- なぜか異常状態の敵の放置して主人公側に合流する
- 主人公側の敵を倒したら、もう一度1先ほど異常状態にした敵を倒す
…といった、「何で放置するの?」と思ってしまうAIが組まれています。
何故これがダメかというと、味方キャラが異常状態の敵をスルーして合流してしまう事で、1ターン無駄になってしまいます。
また、忍人さんが「破魂刀」という特殊技を使います。
強い技ですが…その反面、忍人さんのHPが減ってしまう効果があります。
それは別に良いんですが、忍人さん好感度上げの為に戦闘に出していると、勝手にこの「破魂刀」を連発していて、
気付いたら忍人さんHPが半分以上消費している事態が頻繁にあります。
※今作は主人公も単体回復が出来るので、忍人さんを使う場合は回復を使ってあげましょう。
このように、AIがポンコツな面があるので、レベリング作業する際ちょっと面倒な時があります。
各キャラの攻略シナリオより共通シナリオの方が長い
共通シナリオでは、味方側に主人公を二ノ姫として信頼を得る話、そして攻略キャラの出会いが描かれるんですが…
全10章あるので、長くて一気にはプレイ出来ないと思います。
各キャラを攻略する場合、スルー出来る章も存在しています。
ですが、専用√まで行くまでが長いので、「早くキャラを攻略したいのに!」と思う方には、じれったく感じてしまうかもしれません。
共通シナリオでは戦での作戦会議や、四神の居所の捜索と戦闘、時には敵軍サイドの会話が発生します。
また、攻略キャラの「心の天秤」を動かす以外だと、始終真面目な話が続くので、
今作は乙女ゲー…というよりは、どちらかと言うと「政治系歴史風ファンタジーに恋要要素を加えました」という印象です。
なので、そういった軍議や政治系のストーリーに興味がない人は退屈してしまうかもしれません。
私個人としましては、小説だと政治・経済・軍事など、所謂政治系を扱ったファンタジー物が好きです。
なので、今作も各ルートで、政治的な思惑で引き放される攻略キャラと主人公の関係性を楽しんでプレイ出来ました。
狭井君と民の性格はクソだとは思うけど
ですが、一般的な乙女ゲーを期待してプレイすると、
「恋愛シナリオ以外、ずっとキャラ同士が小難しい話しててつまらない」と思ってしまう可能性があります。
攻略キャラによって、主人公の性格がブレている時がある
※以下の内容には攻略キャラの恋愛√での一部選択肢が表示されています。
選択肢の見たくない方は目次等を利用して読み飛ばして下さい<(_ _)>
今作の主人公は、今までどこにでも居る普通の女子高生だった女の子でした。
ですが、自分が異世界の姫である事を思い出したことで、国を取り戻す為に奮闘する過程で、王として成長していく物語です。
なので、総大将として兵に指示を出したり、時には個人的な感情を殺して命令したりと、勇ましく格好良い姿が目立ちます。
私も、物語が進むにつれて王となっていく主人公の姿はとても好きです。
ですが…攻略するキャラによって、主人公の性格にブレている時があるのが少し気になりました。
例えば、忍人さん√での主人公は、自分にも他人にも厳しい忍人さんに認められる為に頑張る過程で、最終的には素直で慎重な性格になっています。
ですが、サザキさん√だと「たまには休暇も必要だよね」と思ったり、「私もサザキの翼で空を飛んでみたい!」と無邪気にはしゃいだり
「何故?」とか「どうして?」と、なぜなぜ期の子供のように、天然っぽくて幼い性格になってしまっています。
サザキさん√でも、後半になったら主人公は忍人さん√のように凛々しい振る舞いを見せます。
ですが…攻略キャラや展開によって性格が180度違う事から、主人公が多重人格のように見えてしまうのが残念なポイントでした。
格好良い主人公を描きたいなら、どの攻略キャラでも性格はしっかり者の儘にして、
ふとした瞬間素の主人公の反応が見えたりしていれば、充分乙女ゲーらしい甘い展開は作れたんじゃないかと思います。
前作の遥か3の主人公も、設定の練り方が惜しいと思う点はありました。
ですが、3の主人公はどのキャラを攻略しても性格はブレていない印象だったのに、
攻略キャラによって性格が変わってしまうのが、4の主人公のちょっと惜しいポイントだと思います。
序盤は攻略不可能なキャラがいてちょっと面倒
今までの遥かシリーズだと、攻略順はプレイヤーが自由に選べました。※十六夜記の重盛は除く
なので、全クリア目的ではなく、気になっているキャラだけ攻略したい人には遊びやすかったと思います。
ですが…今作では、序盤では攻略出来ないキャラが存在します。
代表的なのが、柊√です。
柊を攻略したい場合、忍人+那岐+布都彦の3キャラを事前に攻略しておかないといけません。
忍人さんと布都彦君は、同郷関係者だからまだ分かるんですが…何故那岐君まで?(;^ω^)
また、風早も他キャラ7人を全員攻略しないと個別√に進めません。
私のように、全ルートクリアするつもりならそこまで気にならないとは思います。
ですが、好きなキャラだけ攻略したい人にとっては共通シナリオの長さもあって、
興味が無い攻略キャラを複数人強制的にプレイしなければいけないのは苦行だと思います
おまけ要素の「逸話」の内容がちょっと…
今作のPS2版とWii版でプレイヤー側から共通して批判を買っていたのは…
「とにかく全体的なシナリオが薄い!」という点だと思います。(私も薄いと思いました)
また、特定のキャラが衝撃的なエンディングを迎えた儘、とくにフォローも無く終わってしまう点だったとも思います。
そこで、愛蔵版で追加されたのがおまけ要素の「逸話集」です。
これにより、1キャラごとに…
- エンディング
- 大団円シナリオ
- 逸話シナリオ
と、最後に3つのシナリオを見る事が出来るようになりました。
また、サブキャラ達にボイスが付いているので、もしサブキャラにお気に入りのキャラがいればボイスを聴くことが出来ます。
私個人の意見としては、サザキさんの逸話以外は概ね満足が行くシナリオだったと思います。
ですが…プレイヤーに寄っては、期待していた内容とはズレている…と思うだろうシナリオが多くあります。
例えば、先ほどナシだと思うと語ったサザキさん√では過去の話になっており、逸話のシナリオ内で主人公が一切登場しません。
また、忍人さんの逸話はあの衝撃のエンディングのその後が語られます。
何であのエンディングを正史扱いにしたのか小一時間問い詰めたい
ですが、忍人さん√に関しては、あくまで個人的な意見を書かせてもらえば…
あの鬱エンディングをバッドエンド的な内容として放置せずに、悲しみが残りつつも一筋の希望が差すような…
もう1つのエンディングとして綺麗にまとめていたので、忍人さんの追加シナリオは個人的には好きでした。
那岐君√も個人的には微妙な感じでしたが、一応主人公は出てくるので、好きな人は好きなシナリオだと思います。
また、遠夜√と柊√は、PS2版だと良さげなテーマだったのにあっさり終わってしまっていたり、
よく分からない終わり方をしていた分、逸話シナリオは気合を入れて作っていた印象です。
…とは言っても、上記のように主人公とキャラがイチャついているシナリオもあれば、
サザキさん√のようにプレイヤーの期待にズレているシナリオや、
「別に逸話集で収録しなくても良くない?ドラマCDじゃダメなの?」と思ってしまうシナリオがあったのも事実です。
自分の好きなキャラとイチャついている内容だったら、満足のいく追加シナリオだとは思いますが…そうでない場合、
鈴木雅之さんの曲「違う、そうじゃない」のワンフレーズが浮かびます。(;^ω^)
一応、逸話内に限定スチルも1枚挟まってはいますが、内容がプレイヤーの期待に合っていないものが多く、そこがちょっと残念でした。
プレイしてみた全体的な感想
色々書きましたが、バグがあったり手抜き感がないので、決してクソゲーではないと個人的には思います。
また、世界観や各攻略キャラのシナリオが良かったので、個人的に遥かシリーズでは好きな作品の1つです。
ですが…それと同時に遥かシリーズ感が薄いので、「遙かなる時空の中で4 愛蔵版」をナンバリングにしなくても良かったんじゃないかな…?と思いました。
遥かシリーズの大まかな特徴と言えば…
- 龍神の巫女
- 八葉
- 白龍&黒龍
- 星の一族
- 鬼の一族
- 怨霊の封印
この6つの要素からなっていると思います。
ですが、前述の通り今作では八葉という概念が存在していません。
主人公の元へ集まるイケメン8人は、不思議な力で八葉として選ばれたわけではなく、あくまで王族関係者や志を共にする仲間です。
また、主人公の扱いも周りの人から龍神の巫女…というより、姫として扱われる場面が多く、怨霊=荒魂となっているので、
遥かなる時空の中でシリーズ的な要素がとても薄くなっています。
ですが、ナンバリング作品の中では異色…というだけ、1本の乙女ゲームソフトとしてはスチルのクオリティも綺麗で、
個別√も「酷い!」と思うものはありませんでした。
なので、ナンバリング作品扱いではなく、「遥かなる時空の中で零」としたり、番外編的な作品として発売したら受け入れやすかったと思います。
愛蔵版は恋愛シナリオの薄さを補完出来ているか
愛蔵版は追加スチルや新シナリオを求めて購入する人が多いと思いますが…「各キャラとの恋愛シナリオの薄さが改善されているか?」と聞かれると…
正直、微妙なライン…と言わざるを得ません。
愛蔵版では、各攻略シナリオに追加エピソードを加えた訳ではなく、攻略後のおまけシナリオとして逸話集を追加した形です。
なので、逸話集にも恋愛的要素はありますが、人に寄っては「期待していたシナリオと違う…」と思ってしまう可能性があります。
ですが、何度も書きますが好みが分かれそう…と思うだけで、内容自体は悪くないと私は思うので、
PS2版よりは逸話集が入った愛蔵版をプレイしたほうが楽しめると思います。
事前に過去作をプレイしておいた方が良いか
結論から書きますと…
今作は過去作をプレイしていない、遥かシリーズ初見プレイの方でも楽しめると思います。
前述しましたが、今作は過去作の要素が非常に薄い、ほぼ独立したストーリーになっています(;^ω^)
ですが、過去作に比べてシステム環境やバトルが非常に遊びやすい形に工夫されています。
遥かシリーズの専門用語はきちんとシナリオ内で説明もされるので、過去作をプレイしていなくても楽しめると思います。
「遥かなる時空の中で4 愛蔵版」はどんな人におすすめ出来るか
今回もどんな人におすすめか個人的な意見を語りたいと思います。
- 「遥かなる時空の中で」シリーズ or 乙女ゲームを初めてプレイする方
- PSP(綺麗な画質が良いなら3000型がおすすめ)を持っている方
- ゲームシステムでストレスを感じない乙女ゲームがしたい方
- シナリオが長めのゲームをしたい方
- 主人公が格好いい乙女ゲーが好みの方
- スチルが綺麗なゲームが好きな方
- 王道的シナリオが好きな方
まとめ
遥シリーズとしては異色の作品でしたが、私個人としては遊びやすくて好きな作品です。
小説だと、十二国記のような中華風ファンタジーが好きな人は刺さる作品だと思います。
それにしても…乙女ゲーやってて審神者というワードを見るとは思いませんでした(;^ω^)
恋愛√になると邪魔してくる狭井君や、中つ国(味方側)の官吏?兵士?について残念な点で挙げようか迷いましたが、
改めてプレイすると「国の事を考えると、間違った事はしてないな」と思って止めました。
やり方は決して好きではないけど
好き嫌いが分かれそうな作品ではありますが、個人的には良作だと思っているので、興味があれば是非プレイしてみて下さい!(*’ω’*)b
さて、次は「遙かなる時空の中で5」をレビューしたいと思います。
ネットでさらっと評価を調べると、出るわ出るわ酷評の嵐で…逆にワクワクしています(;^ω^)
頑張ってプレイしたいと思います。それではっ!